親男日誌 ―4人きょうだいとベリーさんと私―

都内で夫婦共働き、4人の子育て(ナルニア物語と同じ男→女→男→女)、妻はベリーの暮らしのベリーさん、そんな家族のお父さんのブログです

【孤独の日曜】映画「首」を観た。

どーも、2日続けて「孤独」の親男です。

(家族が多い上に、10数年間家に必ず幼児がいるという状態だと、一人でいるってだけで記事になるわけです。)

 

さて。

 

そんなこんなで一人の日曜日。

(一応、念のために言っておきますと、別に「妻が子どもを連れて出ていっちゃっただよ〜」みたいなことじゃありません。あと、別に妻ベリーさんとも喧嘩しているわけでもなくて、ただ単純に家族それぞれ動いていて、孤独になっちゃった感じです。)

 

でまあ、毎度おなじみの「今日ナニするの?」ってことなわけです。

 

いやマジでナニしようか。。。

 

で、限りなく趣味が少ないおっさん親男。

 

映画を観に行くことに決定であります。

(趣味が「読書」「映画鑑賞」って書かざるを得ない人の気持ち、ワシはわかります。どんなに「しょうもない趣味」みたいに言われてもホントに趣味なんだからしょうがないじゃんって。)

 

===ここから先、ネタバレなしですが、作品を初見で楽しみたい方は読まないほうがいいです===

 

で。

選んだ映画が👇。

movies.kadokawa.co.jp

 

そう、「世界の北野」の最新作であります。

 

首 (角川文庫)

 

 

私。

実は北野武監督の作品は大好きで。

映画は「その男、凶暴につき」からずっと観ています。

 

その男、凶暴につき [DVD]

 

ホント、この映画を観たときは相当ショックで。

いつもお笑いウルトラクイズや元気が出るテレビで見ていたお笑い芸人の「ビートたけし」がつくったなんて信じられず。

何発かほっぺたをぶっ叩かれたような衝撃でした。

 

独特の会話の間。

画面の構図。

全体的な乾いた演技。

久石譲さんの音楽。

そして、キタノブルー。

 

さながら、その様式美は。

禅の水墨画のような雰囲気で。

ない部分、カットされた部分、言わない部分、描かない部分。

そういったところがふんだんで。

余白、空白を魅せる作品、って感じです。

 

その映画的な要素の全部が大好きで。

2000年くらいまでの作品は何度も見ました。

 

で、その後。

なんとなく遠ざかって20数年。

 

久しぶりに観たいなーと思ったのがこの「首」でした。

 

観たいと思った一番の理由は。

加瀬亮さんの織田信長を観てみたいと思ったこと。

 

正直なところ。。。

今の北野作品に初期の頃の切れ味を求めていない自分がいて。

 

私にとっての北野作品の魅力ってものを。

全然期待していなかったわけです。

 

しかし、加瀬亮さんの評価高い演技は観てみたいぞ。

というわけで行ってきたわけであります。

 

 

 

 

結果。。。

 

 

 

まずは残念な点から。。。

 

 

往年の北野作品が好きな人は。

なにか違う感。

を覚えてしまうかも。

 

私の好きな北野作品って。

「残酷」で。

 

その「残酷」って。

ただ、暴力とか血がほとばしるとか。

そういうことの残酷じゃなくって。

 

人生に対しての「残酷」さで。

 

人生って、当たり前だけど、映画みたいなことがないから現実なのに。

えてして映画ってそういった映画臭いものを見せにかかってくるわけです。

(それはそれでそんな映画も好きなわけですけど。。。)

 

が。

北野作品にはそういった予定調和はなくて。

ことごとく「残酷」で。

 

それが彼の映画の厭世感、寂寥感、そういった突き放した感覚につながっていく、と私は思っていたのです。

そうして、なぜか観終わる頃には「やっぱり人生を愛している」って気持ちにもなったりするわけですが。

私にとっての映画「首」は残念ながらそういったカタルシスがなかったです。

 

ただ。

もちろん。

筋もテンポもまったく飽きさせることない。

 

けど、北野武監督もいよいよ熟練の域に達しているんだなあって。

映画職人が職人技でつくっちゃいました、みたいな感じで。

玄人感が出まくりなのが、やっぱりコレジャナイ感。

 

 

フラリと芸人という門外漢が映画界に殴り込みをかけたような。

ゾッとするような抜き身の雰囲気はもうないんだ、なんて勝手に寂しくなったりしたわけであります。

(お歳とキャリアを考えれば、当たり前っちゃ当たり前。)

 

 

で。

いい点なんですが。

 

それは役者陣の演技に尽きます。

 

全方位的に演者と演技がいい。

 

黒田官兵衛の浅野忠信さん。

羽柴秀長の大森南朋さん。(名前、なんて読むんだろう。。。)

服部半蔵の桐谷健太さん。(得な役どころでした。)

そして。

明智光秀はワシの大好きな西島秀俊さん。(やっぱりよかったぁ。)

 

私は織田信長役の加瀬亮さん(マジで怪演!一見の価値あり!)がみたくて行ったのですが。

主要メンバーの方々は全員旨味のある演技で。

ずっと観てたいくらいのものでした。

 

 

 

ただ。。。

ただ。。。

ただ。。。

ビートたけしさんの秀吉が。

少し役に対しての「抜け感」が目立って。

秀吉の根っこにあると、私が思っている狂気や固執なんかは伝わってこなかったです。

(むしろ今年の大河ドラマのムロツヨシさんの秀吉のほうが、不気味な感じで私はいい気がします。。。大河ドラマは番宣でしか観てないですが。。。)

 

 

 

ということで。

 

一般的に戦国絵巻の映画は。

監督の独りよがりの長尺のシーンがあるのが、相場と決まっていますが。

今回の「首」はそんなこともなく。

テンポは、まあよかったのかなと。

 

なので、北野作品を観たことない方は案外面白く見ることができるのかもしれないです。

 

 

一方で。

 

私のようにかつてのめり込んだことがあるような人は。

ナニかが違う、という気持ちになるかも。

 

一応言っておきますと。

悪い映画では全然ないです。

 

が。

北野武監督好きには。

乾いた突き放した「残酷さ」が足りないんじゃないかと。

そんな風に思ったわけであります。

 

 

しっかし。

映画ってホントこんな風にいろいろと考えることができるので素敵だな、なんて。

改めて思った日曜だったのでした。

 

 

だかだから〜ワシ。

一人だって寂しかないやい!

 
。。。
 
。。。
 
。。。
 
。。。って。
うそ。
やっぱちょっと寂しいかも。
 

'